子どもは消防車が好きだ。図鑑に載っている特殊な形態の車両を見ては喜んでいる。街中でそんな車を見つけようものなら大きな声で叫ぶ。消防署には生活に安全、安心を提供してくれる存在として、私も敬意と感謝の念を抱いている。特にこの消防署を見て、その思いを一層強くした。
港区高輪二丁目に「高輪消防署二本榎出張所」がある。
建築物は直線によって構成されるという固定観念が強いせいか、曲線の構造物は割りと目に付きやすい。この建物は今でもモダンな印象を受けるが、建築当時はなおさらだったろう。港区高輪地区総合支所協働推進課が2010年3月に発行した高輪地区情報誌「みなとっぷ」Vol.11の「さんぽみち」のページで次のように紹介されている。
高輪消防署二本榎出張所
警視庁総監営繕係・越智操設計により、昭和8年に建設されました。当時流行していたドイツ表現主義の影響を受け、建物に曲線が多く使われています。建設された時は、望楼から東京が一望できたそうです。(都選定歴史的建造物)
昭和8年12月28日に落成したこの建物は、平成22年3月26日に都選定歴史的建造物に選定された。落成当時、高さにおいてランドマークであったろうこの建物は、今はデザインにおいて存在感を誇っている。
近くに高輪浴場という銭湯がある。写真を撮影した頃には回数券を買って通ったものだ。「時間ですよ」のような番台があった。富士山の絵こそなかったが、昭和の典型的な銭湯であった。湯は気合いが必要なほど熱かった。風呂上がりに甘いものが欲しくなり、すぐ前の洋菓子の店ホーリーでサバランを買ったことがある。今となっては甘い思い出でもある。
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