ゴミの山を名付けて「夢の島」とは、さすがに東京はすごい。都会はスケールの大きさ、発想の大胆さが違うと感心したものだ。昭和の東京を象徴する場所の一つである。
江東区に「夢の島」がある。夢の島公園という都会的で爽やかな公園となっている。
夢の島について、このような記事を見つけた。『昭和二万日の全記録 第13巻』(講談社)から引用しよう。昭和40年のことである。
「夢の島」はえ退治
【重油で焼き払い】
七月十六日、東京のごみ集積場「夢の島」で、はえ撲滅のため、大規模な焼き払い作業が行われた。夢の島では、六月にはえが大発生し、対岸の江東区では民家の天井を黒く覆うほどだった。作業には消防庁、陸上自衛隊、海上保安庁、保健所などから約三〇〇人が参加し、タンクローリー五台分の重油をごみの山にかけて焼き払った。
ハエ騒動の前には自然発火、ハエ騒動の後には野ネズミの異常繁殖と、さすがにゴミの山は何が起きるかわからない。それがどうだろう、現在の「夢の島」は。皮肉としか思えなかった名前が、名実ともに夢を育む場所となっている。汚すのも人間なら、美しくするのも人間であった。
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