NASAは先月、南極で四角い氷床を発見したと発表し画像を公開した。確かに四角い。本当に自然現象?と疑う声すら出るくらい凄い。
この世は色々なものが様々な形をしており、四角も丸もその中の一つに過ぎない。しかし人間は、自然に中に幾何学的なものを見つけると、そのに意味を感じ、崇敬の念すら抱くのである。
兵庫県神崎郡神河町作畑に「重箱石」がある。
サイクリストにお勧めなルートに「越知川名水街道自転車下り」全長約20kmがある。越知川の上流から下流にかけての道沿いには、美しい風景とともに美味しい水の湧き出る場所が点在しており、気持ちよいサイクリングが楽しめる。
自然だけではない。伝説にまつわる巨岩や巨木、淵があって、人文派のサイクリストにも喜んでもらえるだろう。「重箱石」もその一つで、神河町観光協会作成のリーフレットには、次のように紹介されている。
この重箱石に秘密封じのお願いをすると、絶対に世間に漏れることがないというたいへんありがたい岩で、地域の信心を仰いできました。
三段重ねでしかも重すぎる重箱である。確かにこの中に入れたものは、二度と取り出せない。もし開けたりなんぞすれば、パンドラの箱よろしく、秘密にしていた災いが飛び出してくるに違いない。そして、希望だけが最後に残るだろう。
兵庫県神崎郡神河町岩屋に「荼木原の大岩」がある。
高さがおよそ18mあって、岩の窪みに賽の神(さいのかみ)が祀られている。旅の神様なので拝んでおきたい。神河町観光協会作成のリーフレットには、次のように紹介されている。
自然石の大岩そのものが御神体として崇拝され、昔はここで祈祷や松明の投げ下ろしが行われました。
確かにこの巨大さを前にすると、自然に何らかの意図があるように思えてくる。かつては松明の投げ下ろしという勇壮な行事があったようだ。今も続いていれば日本三大火祭りに数えられていただろう。
おそらく自然には、人間を驚かせてやろうなどという意図はない。人が見たり体感したりして意図を感じるだけのことだろう。偶然に形作られた岩であっても、四角だとか丸だとか馴染みのある形状を視覚は見逃さない。重箱石も荼木原の大岩の場合も、その偶然に人は畏怖しているのである。
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