備中玉島の地蔵が江戸の火事を消したという。だから伝説はおもしろい。まったくの架空の物語ならイマジネーションがすべてである。しかし,伝説には痕跡がある。目の前に縁の物があるだけにリアリティがある。それが語り伝えられたという現実がある。
倉敷市玉島柏島の円通寺に「青銅露座地蔵菩薩坐像」があり,倉敷市指定重要文化財となっている。
220cmの岡山県下最大の青銅露座仏だそうだ。このお地蔵様には,次のような伝説がある。『良寛さま史跡めぐり』から読んでみよう。ちなみに円通寺は良寛修行の地である。
ある夜,小坊さんが和尚さまに,地蔵菩薩座像が真っ赤に焼けていると言ってこられました。和尚さまに,すぐ水を掛けるように言われた小坊さんが何度も水を掛けると,ようやくシュンとなったのでございます。後日,江戸から「江戸の大火を円通寺の紋のついた高張提灯を持って,よくぞ消しに来てくださいました」とお礼に来たという霊験あらたかな言い伝えがございます。
この像は先の大戦で軍に献納するよう命令されたが,玉島町の熱心な運動により献納を免れたという。ますます有難いお地蔵様である。
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